頭抱えて唸って笑って

[悩んだらりつまずいたら、]
[最初に戻るのもいいでしょう。]

何してるんだ、っていうのもあるけど、ちょっと外見に合わなさすぎて面白いを通り越して、気持ち悪かった。

今現在の私の心境である。

「あれだ、どっかの動物園の熊が頭かかえてるヤツみたいなの」

ある光景を見ながら思う。…目の前で頭抱えて唸っている奴がいるのだ。確か、岸本達だっけ。

何をどう突っ込めばいいんだろう。わからない。そして、非常に気持ち悪い。もう一度言おう、気持ち悪い。

「………」

私は無視して去ることを決めた。あれは忘れようと心に決めながら。

一応部活動中であったし、何処かいい場所を探していた途中だったから。風景やデザイン、イラストが好きだったから、いつも風景ばかり描いていた。

「…わ、綺麗」

屋上は私のお気に入りの場所。いつも此処に来てから帰る。今日は風景を描くために来た。

ちょっぴり感動する。もう残り30分となった部活動時間。太陽の光が雲や空、海を一面オレンジに染める。きらきら光っていて綺麗だ。

思わず職員室で借りたカメラでカシャリ、風景を撮る。いろんな角度からパシャパシャと。何度か撮って一息ついた。

「(今からUSBに入れよう…!)」

直ぐ様側に置いていたスケッチブックと筆箱を掴み屋上から走り去る。

ドキドキと高鳴る鼓動。急いで部室に帰り、創作部のパソコンの電源を入れた。スタートボタンをクリックして操作し、写真を手際よくUSBに入れていく。

すべて取り込んだ後は全てを元に戻した。そして、新しい写真の入ったUSBを見て軽く微笑む。

やっぱり景色は好きだ。この景色を描くのが凄く楽しみでしょうがない。

あの気持ち悪い記憶は、頭の中から消えていた。

[悩んだら、]
[趣味に没頭して]
[忘れるのもいいかもしれない]

7/9


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